いつの間にかニイニイゼミが鳴いています。
記録破りの暑さで気分はもうすっかり真夏ですが、セミたちの夏はこれからです。
蝉時雨が本番となる前に、今回は身近なセミをご紹介します。
使用した写真はすべて皆様から投稿されたものです。写真下に生き物の名前と団員番号を付記しました。
セミはカメムシ目(半翅目)に属する昆虫で、世界には約2000種が知られ、日本には30種余りが分布しているそうです。
セミはトンボやバッタと同様に、幼虫から蛹を経ずに成虫になる、不完全変態の昆虫です。成虫になる前の最後の脱皮を羽化といいます。
羽化が近づいた幼虫は、地表に小さな穴をあけて夕暮れになるとはい出し、木などに登り羽化します。翅はすぐに伸びて数時間で飛べるようになりますが、満足に鳴けるようになるまでには数日かかると言われています。
そのためでしょうか、オスはメスよりも1週間程度早く羽化する傾向があるそうです。
成虫は短命と言われていましたが、現在では、外敵に襲われなければ3週間ほど生き、1ヶ月以上生きることも珍しくないと考えられているそうです。
卵は枯れ枝や樹皮に産卵管を突き刺して産み付けられ、そのまま冬越しして翌年の梅雨時に孵化するアブラゼミなどと、産卵された年の秋に孵化するニイニイゼニやヒグラシなどがいます。
孵化したセミの幼虫は体長1mm~2mmほどで、すぐに地上に降りて地中に潜り、木の根に取り付いて樹液を吸いながら長い時間をかけて成長します。
昨年、2024年の夏に、北アメリカに生息する13年ゼミと17年ゼミの羽化が重なり、数兆匹が大発生したニュースは記憶に新しいところですが、セミが幼虫でいる期間は種や環境によって異なり、幼虫期の長さは現在でも多くの種で未解明なのだそうです。
バックグラウンドサウンドのようなニイニイゼミの鳴き声に続き、朝夕のヒグラシの声で夏の到来を想い、強まる日差しの中、アブラゼミや新興勢力のクマゼミの鳴き声に圧倒される。
暑さに追い打ちをかけるようなミンミンゼミの鳴き声に耐え、ツクツクボウシに夏休みの宿題を急かされる頃、気が付けば朝夕は少しだけ過ごしやすくなり、虫の音が聞こえだす・・・。
地上では、おなじみの夏の移ろいが猛暑の影響でだんだんと変わりつつありますが、地面の下でひっそりと暮らすセミの幼虫たちに、影響が及ぶことがないように願うばかりです。
セミの属するカメムシ目にはほかに、カメムシ、アメンボ、タガメ、ヨコバイ、ツノゼミ、ウンカ、アブラムシ、カイガラムシなどが含まれます。
皆様から寄せられたカメムシ目の生き物写真です。
2025年6月の皆さまからの報告は340件でした。
内訳は昆虫275件、鳥類26件、クモ・ムカデなど11件、は虫類7件、貝類6件、哺乳類4件、両生類4件、維管束植物4件、その他の動物(扁形動物)2件、地衣類・菌類1件でした。
また、調査対象の生き物は24件、調査対象以外の発見生物は316件でした。
参考文献
税所康正『セミハンドブック』文一総合出版(2019年)
今井初太郎『里山・雑木林の昆虫図鑑 春夏秋冬』メイツ出版(2018年)
海野和夫『フィールドガイド 身近な昆虫識別図鑑 増補改訂版』誠文堂新光社(2019年)