調査団報告2022年9月

ここまで分かった! 調査対象生物たちの分布

今号では、生命のにぎわい調査団の発見報告によって分かってきた生き物の分布状況を紹介していきます。これまでに、調査団が発足した2008年7月から2011年1月までの2年半に得られたデータを整理して、調査対象生物の分布図を作成した結果を報告してきました(柴田、2011)。しかし、2011年以降に得られた情報は一部を除いてあまり報告できていません。

そこで、2011年以降から2022年3月末までに得られた調査対象生物のデータを3次メッシュ(1km四方の格子)単位で整理しましたので、その中から6種(ニホンイタチ、キジ、ウシガエル、サワガニ、ヤマトタマムシ、ハマヒルガオ)の調査結果を紹介していきます。

ニホンイタチ(イタチ)

ニホンイタチ
撮影者 : a1331

ニホンイタチは平地から山地にかけて生息する比較的小型の哺乳類です。河川や水田等の水辺周辺でカエル類、魚類や野ネズミなどを捕食します。

ニホンイタチの分布図

ニホンイタチの発見報告は千葉県北部を中心に、県内の広範囲から投稿がありました。

柴田(2011)によって報告された分布図から大きな変化はありませんでしたが、県北部(野田市、柏市、成田市や佐倉市など)と県南部(市原市、君津市、富津市や鴨川市など)のどちらからも新たな報告地点が増加していました。その一方で、県の最南部(館山市、南房総市)や県北部(多古町、芝山町、松戸市や流山市)の一部は報告がほとんどない状態が続いていました。

キジ

キジ(オス)
撮影者 : a0826

キジは平地から山地の草原や農耕地、河川敷などで見られる留鳥(一年中一定の地域内に定住する鳥)です。写真にあるようにオスは派手な見た目をしていますが、メスは非常に地味な見た目をしており、雌雄で姿形が全く異なるといった特徴があります。

キジの分布図

キジの発見報告は千葉県内のほぼ全域から投稿されていました。柴田(2011)の分布図から大きな変化はありませんが、これまで報告が少なかった県南部(館山市、南房総市、鴨川市やいすみ市など)、県北東部(匝瑳市や銚子市)、県北西部(我孫子市や松戸市)からの報告が増加していました。

ウシガエル

ウシガエル
撮影者 : a0826

ウシガエルは北米原産の外来種で、環境省の特定外来生物に指定されています。様々な在来種(昆虫類や他のカエル類などの小動物)を捕食するため、生態系への影響や、鳴き声が騒音として問題視されることがあります。

ウシガエルの分布図

ウシガエルは平地の池や沼、河川、湿地、水田付近で見られると言われているように、千葉県でも標高の低い県北部に分布が集中し、丘陵地の広がる県南部からの報告が少ない結果となりました。ウシガエルの分布図も、柴田(2011)の地図から大きな変化はありませんが、これまで報告がほとんどなかった大多喜町、いすみ市や御宿町、茂原市などからの投稿が増えました。しかし、銚子市、館山市や南房総市などでは発見報告がない状態が続いています。

分布のない地域(銚子市、館山市、南房総市、鴨川市など)でウシガエルを発見された際は、是非とも、生命のにぎわい調査団までご投稿ください。

サワガニ

サワガニ
撮影者 : a0389

サワガニは淡水に生息するカニで、湧水のあるところを中心に分布しています。日本全体で見ると、赤みがかったもの、茶色がかったもの、青みがかったものなど体色に大きな変化が見られますが、千葉県では上の写真のように、主に青みがかった個体(青白い個体)が見られます。

サワガニの分布図

サワガニの発見報告は県南部や県北部の内陸部から多く投稿されており、柴田(2011)の結果から大きな変化はありませんでしたが、これまで発見報告があまりなかった御宿町、大多喜町、いすみ市、袖ケ浦市や木更津市などからの投稿が増加しました。

しかし、県最南部(館山市や南房総市)、県北西部(野田市や柏市)、県北東部(銚子市、香取市や匝瑳市)などからは発見報告がほとんどない状態が続いています。これらの地域にはサワガニが分布していないのか、それとも団員が少ないために発見報告が投稿されていないのかは判別できません。サワガニの発見報告のない地域でサワガニを見かけた際は、是非とも生命のにぎわい調査団までご投稿ください。

ヤマトタマムシ(タマムシ)

ヤマトタマムシ
撮影者 : a1481

ヤマトタマムシは平地から山地の雑木林などに生息し、サクラやエノキの枯枝に産卵します。真夏の日中に樹上を飛び回る姿が観察されることが多いです。

ヤマトタマムシの分布図

ヤマトタマムシの発見報告は県内の北部を中心に、県最南部(館山市、南房総市、鴨川市など)を除く広範囲から投稿がありました。これも、柴田(2011)によって報告された地図と同様の結果となっています。しかし、君津市、勝浦市、いすみ市、匝瑳市や香取市など、これまでにほとんど報告のなかった地域からの投稿が増えていました。

これまでに報告のない、館山市、南房総市、鴨川市や銚子市などでヤマトタマムシを発見された方は是非とも、生命のにぎわい調査団まで発見報告をご投稿ください。

ハマヒルガオ

ハマヒルガオ
撮影者 : a0708

ハマヒルガオは砂浜や礫浜に生育しています。開花時期は4月下旬から5月頃で、その時期になると海岸で群生している光景を見ることができます。海岸植物を代表する存在です。

ハマヒルガオの分布図

ハマヒルガオは海岸植物であるため、海岸を沿うような分布をしているのが特徴的です。九十九里平野を中心に、県内の海岸に生育しています。

柴田(2011)と比べ、九十九里平野を中心に発見報告が増加し、これまで発見報告があまりなかった南房総市、鴨川市、勝浦市や銚子市などでも報告が増加しました。もし、地図にない地域でハマヒルガオを発見された際は、是非とも発見報告までご投稿ください。

中には内陸部からの発見報告もありますが、これは別種のヒルガオと間違えて投稿されたものが含まれているかもしれません。

最後に

今回紹介した6種の生き物の分布図は、先行研究の柴田(2011)の結果から大きな変化はありませんでした。しかし、2011年以降も各生物の発見報告の募集を継続したことによって、これまで報告のなかった様々な地域でも、各対象生物が分布していることが分かりました。

ただし、今回紹介したように、種によっては発見報告が全く投稿されていない市区町村がまだまだたくさんあります。本当にその生き物が分布していないのか、実際に分布しているけれども報告されていないだけなのかは分かりません。

そこで、今後も生命のにぎわい調査団による発見報告を募集していきます。また、あまり報告がない地域に居住する団員が増えるよう、情報発信も続けていきます。

今後とも生命のにぎわい調査団の発見報告をご活用いただけますと幸いです。

参考文献

柴田るり子. 2011. 県民参加型生物モニタリング「生命のにぎわい調査団」の報告について. 千葉県生物多様性センター研究報告 3: 77-96.

関慎太郎・松井正文. 2021. 野外観察のための日本産 両生類図鑑 第3版. 株式会社緑書房.

葛生淳一・前田信二. 2019. 千葉のいきもの図鑑 改訂版. メイツ出版株式会社.

調査団報告 2022年9月

*希少生物は保護上の理由により、発見場所を非表示にする場合があります(緯度 : 35、経度 : 140 の位置を表示する設定にしています)。

9月分のデータ(Excel)は以下のリンクよりダウンロードできます

ただし、無許可で報告データを公開することを禁じます

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外来種対策:外国産の生きもの・外来生物、国内でも他地域の生きもの・移入生物は、野外に放さないでください。
飼育した生きものは責任をもって、最後まで飼いましょう。外来生物によって、日本の在来の生物(植物、動物)は、大きな影響を与えられています。国内、千葉県の生態系と生息する生きものを守るためには、知る、調べる、行動する/駆除するなどが必要になっています。

外来生物に関する情報は

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  • ~侵略的な外来生物(海外起源の外来種)による被害を予防するために
  • 1.入れない
  • ~悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない
  • 2.捨てない
  • ~飼っている外来生物を野外に捨てない
  • 3.拡げない
  • ~野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない。
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