調査団報告2025年8月

残暑と呼ぶには厳しすぎる猛暑の中、麦わら色のトンボの姿を目にするようになりました。

ウスバキトンボでしょうか。日に日に数を増し、強い日差しの中で空気を縫うように自在に飛ぶ姿を見ると、感覚とは裏腹にそろそろ秋の気配を感じるような気がします。

――― 秋の季語でもある赤とんぼの代表、アキアカネに会えるのはまだ少し先かも知れませんが。

トンボは蛹の時期を持たない不完全変態の昆虫で、ほとんどすべての種が幼虫期を水中で過ごすため、水辺とは切っても切れない生活をしています。

農業機械の導入などで、日本の田んぼの多くが年間を通して半湿地状態だった「湿田」から、未使用時は水を抜く「乾田」に姿を変え、トンボの幼虫、ヤゴをはじめとする水生昆虫の多くが影響を受けています。

アキアカネは6月の末から7月初めに平地の田んぼなどで羽化し、すぐに移動して夏の間は涼しい山地で過ごします。秋になると赤く色づき、山を下りて群れを作ります。そして、稲刈りの終わった田んぼの水たまりなどに産卵します。卵は泥の中で乾燥にも耐えて越冬し、翌年、田んぼに水が張られると孵化してヤゴとなります。

アキアカネは卵で冬越しをすることで、人がつくった「田んぼ」という水域に、うまく生活を合わせることができたのです。

トンボの仲間は世界に約6,400種、日本では206種が記録されています。

千葉県に記録があるのは、そのうちの70種余りだそうです。

生命のにぎわい調査団の発見生物への投稿は、現在64種に上ります。

投稿が最も多かったのは、シオカラトンボで290件でした。ノシメトンボ119件、アキアカネ114件と続きます。

皆さまからの投稿の一部をご紹介します。種名と団員番号を写真下に付記しました。

2025年8月の皆さまからの報告は427件でした。

内訳は昆虫318件、鳥類35件、クモ・ムカデなど25件、維管束植物17件、は虫類12件、貝類6件、両生類4件、哺乳類4件、魚類2件、エビ・カニ類(甲殻類)2件、地衣類・菌類(キノコなど)2件でした。

また、調査対象の生き物は47件、調査対象以外の発見生物は380件でした。

参考文献

尾園暁/文・写真 二橋亮/監修『トンボハンドブック』文一総合出版(2024年)

海野和男 サイエンス・アイ新書『身近な昆虫のふしぎ』 ソフトバンク クリエイティブ(2012年)

関東トンボ研究会 都道府県別分布表,

https://sites.google.com/view/kantotombo/データベース/都道府県別分布表

調査団報告 2025年8月

8月分のデータ(Excel)は以下のリンクよりダウンロードできます

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