千葉県環境生活部自然保護課Chiba Biodiversity Center生物多様性センター

生物多様性用語集

生物多様性用語集

(平成26年4月4日 公開)

【あ行】

・ISO14001
   「ISO14001」とは、国際標準化機構(ISO、International Organization for Standardization)が発行した、環境マネジメントシステムの国際規格のことです。

・アイドリングストップ
   駐停車時におけるエンジンのかけっぱなし(アイドリング)をやめることです。アイドリングストップを実践することは、排気ガス中に含まれる二酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質を抑え、地球温暖化や大気汚染防止につながります。

・アオコ
   富栄養化の進んだ湖沼などで、植物性プランクトン(主に藍藻類)の異常増殖により、水面が緑色あるいは青緑色に変色する現象です。春から夏にかけて発生することが多く、大量に発生すると腐敗して悪臭を発したり、魚介類のへい死をもたらすこともあります。

・アオサ
   海藻の一種で、大繁殖したアオサは漁網に絡まり、沿岸に漂着したものが腐敗して悪臭を発し、多量に堆積すると底生生物を窒息状態に陥らます。その一方で、アオサは生長する際に、海水中の栄養塩類の窒素やリンを吸収し、水質浄化に寄与する一面も持っています。

・赤潮
   海域の富栄養化により、海中の微小な生物(主に植物プランクトン)が異常増殖して海面が変色する現象をいいます。東京湾では茶褐色に変色することが多いが、プランクトンの種類により赤色や黄褐色、緑色などにも変色することがあります。主として夏に多発します。

・育成林
   植林等の人為的な方法により造成された森林や自然に成立はしたが間伐等の人手を加えた森林など、人為を加えて造成された森林のことです。

・遺伝子組み換え生物(いでんしくみかえせいぶつ)
   ある生物が持つ有用な遺伝子を取り出して、それをほかの生物に組み込み新たな性質を持たせた生物をいう。遺伝子組み換え技術は、医薬品の製造、作物の品種改良など利用が広がりつつある。
   次々に新しいタイプの遺伝子組み換え生物が創出されるなかで、遺伝子組み換え生物による生物多様性への影響を防止することを目的としたカルタヘナ議定書が、2001年1月に採択された。これは遺伝子組み換え生物を輸出入する際の手続きに関して国際的な枠組みを定めたもので、輸入国は輸入に先立ってリスク評価を行うこと、輸出者に対して輸出先への事前通報義務を課すことが求められている。
   日本では同議定書に対する国内処置として、2003年6月に「遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)が公布され、翌年2月から施行されている。同法において、遺伝子組み換え生物の使用等については、生物多様性影響(野生動植物の種又は個体群の維持に支障を及ぼすおそれがある影響その他の生物多様性影響)を評価し、生物多様性に影響を生じるおそれがない場合に国が承認することとされている。生物多様性影響は具体的には、
  • 遺伝子組み換え農作物が、農耕地以外の生態系に侵入して、その繁殖力の強さ等により、在来の野生生物を駆逐してしまうこと
  • 遺伝子組み換え農作物が近縁の野生種と交雑して、野生種が交雑したものに置き換わってしまうこと
  • 遺伝子組み換え農作物が作り出す有害物質によって周辺の野生動植物や微生物が死滅してしまうこと
などを想定している。

・移入種(いにゅうしゅ)
   自然分布域の外に(人為的に)導入された生物の種、亜種を言う(外来種と同義)。最近では外来種という言葉の方が使われている。移入という言葉は移入・移出という日常の言葉として広範囲に使われており、個体群の自然分布拡大の場合にも使われることもある。
   ここでは人為による分布拡大であることを明確にするために外来種という言葉を用いることにした。

・エコアクション21(EA21)
   環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価及び環境報告を一つに統合したものであり、エコアクション21に取り組むことにより、中小事業者でも自主的積極的な環境配慮に対する取組が展開でき、かつその取組結果を「環境活動レポート」としてとりまとめて公表できるように工夫されています。千葉県では、財団法人 千葉環境財団が地域事務局となっています。

・エコセメント
   都市ごみの焼却残渣(焼却灰とばいじん)などの廃棄物を主原料として製造する資源循環型の新しいセメントです。

・エコツーリズム
   自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験し学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のあり方。
・エコファーマー
   「持続性の高い農業生産方式の導入促進に関する法律」に基づき土づくり、減化学肥料、減農薬栽培の計画を作成し、知事から認定を受けた農業者のことです。

・エコマーク
   エコマークは、様々な商品(製品及びサービス)の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。商品ごとに(財)日本環境協会との間でエコマーク使用契約を締結することが必要です。

・エコメッセinちば
   持続可能な社会を目指して、市民・企業・行政の各主体が対等なパートナーシップのもとに実行委員会を組織し、協働して開催している環境活動見本市です。平成8年度より毎年度開催しています。

・ESCO事業
   Energy Service Companyの略称で、ビルや工場の省エネ化に必要な、「技術」・「設備」・「人材」・「資金」などのすべてを包括的に提供するサービスのことです。ESCO事業は、省エネ効果をESCOが保証するとともに、省エネルギー改修に要した投資・金利返済・ESCOの経費等が、すべて省エネルギーによる経費削減分でまかなわれるため、導入企業における新たな経済的負担はなく、契約期間終了後の経費削減分はすべて顧客の利益となります。

・NPO
   Nonprofit Organizationの略で、「民間非営利組織」と訳されています。県民の自発性に基づき営利を目的とせずに自立的・継続的に社会サービスを提供する団体のことです。NPO法人に限らず、自発性に基づいた社会的な活動を行う自治会・町内会、婦人会といった組織・団体を含み、法人格の有無を問いません。

・LCA(ライフサイクルアセスメント)
   製品の生産から廃棄までを一貫して定量的にエネルギー効率や環境への影響を評価する方法です。

・オゾン層
   地球を取り巻く大気中のオゾンの大部分は地上から約10~50km上空の成層圏に存在し、オゾン層と呼ばれています。太陽光に含まれる有害紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を保護する役割を果たします。

・温室効果ガス
   赤外線(熱線)を吸収する作用を持つ気体の総称です。温室効果ガスがなければ、-18℃にもなる地球は、これらが大気中に存在することで地表の気温が平均15℃程度に保たれています。この温室効果ガスの増加により、地球全体がまるで「温室」の中のように気温が上昇する現象が地球温暖化です。京都議定書では、温室効果ガスのうち二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六ふっ化硫黄(SF6)の6種類を削減の対象としています。


【か行】

・外来種(がいらいしゅ)
   自然分布域外に(意図・非意図的を問わず人為的に)移動させられた種、亜種、あるいはそれ以下の分類群をさし、その移動先で、生存し繁殖することができるものをいう。
   外来種の内で、その存在が移動した先でその場所の生物多様性を脅かすものを侵略的外来種という。外来種はその起源によって、国内外来種と国外外来種に分けられる。

・外来生物被害予防三原則
   1.入れない(むやみに日本に入れない。)、2.捨てない(ペットを自然の中に捨てない。)、3.拡げない(自然の中の生物を、他の地域に拡げない。)の3原則です。
・回廊(コリドー)
   一般的には、互いに離れた野生動物の生息地間を結ぶ経路のことをいう。鳥や昆虫などの移動経路として機能している樹林帯や、水生生物の移動経路として機能している河川・用水路などは、回廊(コリドー)といえる。分断化が進む野生生物の生息地を結ぶことにより、個体群の孤立化の防止や地域的に絶滅した種の再導入に役立ち、地域の生物多様性保全上重要な機能を果たす。

・合併処理浄化槽
   し尿と生活雑排水(台所、風呂、洗濯等に使用した水)を戸別にまとめて処理する浄化槽です。し尿のみを処理する単独浄化槽と比べて処理能力が高く、BOD除去率90%以上、処理後の放流水のBOD値が、20mg/L(日間平均値)以下と下水道の終末処理場なみの機能を有します。現在では、浄化槽法の改正により、新たに浄化槽を新設する場合は、合併処理浄化槽の設置が義務付けられています。

・カーシェアリング
   1台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の利用形態です。利用者は単独で自動車を所有せず、必要な時に自動車を借りることとなります。

・家電リサイクル法
   家庭で不要となったテレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫の家電4品目について、家電メーカーに回収とリサイクルを、消費者にその費用負担を義務付けた法律です。

・カーボンニュートラル
   バイオマスを燃焼しても二酸化炭素(CO2)は発生しますが、それは植物が成長過程で光合成により吸収したCO2を排出しているものであり、ライフサイクル全体でみると大気中のCO2を増加させず、収支はゼロであるという考え方です。「京都議定書」では、バイオマスの燃焼によって排出されたCO2を温室効果ガス排出量として計上しないこととしています。

・環境影響評価制度(環境アセスメント制度)
   環境に著しい影響を及ぼすおそれのある開発事業等の実施前に、事業者自らが事業の実施による環境への影響を調査、予測、評価してその結果を公表し、地域住民等からの意見を事業計画に取り入れることにより、公害の防止や自然環境の保全を図る制度です。

・環境学習コーディネーター
   環境学習コーディネーターは、学校教育あるいは社会教育において、その相談を受け、行動につながる環境学習となるようにアドバイスをするとともに、テーマに応じた環境学習を支援できる市民団体・市民・事業者・行政機関を紹介します。また、その実践を評価して、学びを支援する人の環境学習に関するスキルを高めると同時に、ちばの環境学習の情報を収集して、広く発信します。

・環境家計簿
   家庭での電気、ガス、水道、灯油、ガソリンなどの使用量や支出額を集計して、二酸化炭素などの環境負荷を計算できるように設計された家計簿です。環境家計簿は、二酸化炭素排出量を減らす実践的な行動につながるとともに、他の環境問題の解決にも貢献し、なおかつ家計の節約にも結びつけることを目的としています。

・環境基準
   人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準です。現在、大気汚染、水質汚濁、騒音、航空機騒音、新幹線鉄道騒音及び土壌汚染に係る環境基準が定められています。

・環境共生住宅
   地球温暖化防止等の地球環境保全を促進する観点から、地域の特性に応じ、エネルギー・資源・廃棄物等の面で適切な配慮がなされるとともに、周辺環境と調和し、健康で快適に生活できるよう工夫された住宅及び住環境のことです。

・環境直接支払い(かんきょうちょくせつしはらい)
   国や地方公共団体等から、農家に直接支払われる補助金等で、特に環境保全の観点から行われるものをいう。ドイツ、フランスをはじめヨーロッパ諸国では、農業と環境や野生生物との密接なかかわり及びその重要性の認識から、経済的生産性とは切り離した農家への支援対策(デカップリング)が制度化されており、その後これは世界的な広がりを見せている。この制度においては、野生生物の生息・生育場所の保全をはじめ様々な環境保全・自然保護に即した農地・農業に対しては国民的合意の基に直接支払いを充実させており、農家収入の50~70%がこの制度によって支えられている状況もある。
   日本においても1999年の「食料・農業・農村基本法」の制定以来、農業・農村の多面的機能の発揮等への対策が重要視されてきているが、千葉県においてはこれに先んじた1997年、地域で培われた農村の健全で豊かな自然・文化を尊重し継承することを目標にした「千葉・新ふるさとづくり:千葉県農業・農村整備環境対策指針」を策定している。2007年度からは国、県、市町村が一体となった農家や市民の地域ぐるみの共同活動に対する支援制度「農地・水・環境保全向上対策」が開始された。

・環境マネジメントシステム
   組織のマネジメントシステム(組織の体制、計画活動、責任、慣行、手順等を含むもの)の一部で、環境方針を策定し、実施し、環境側面を管理するために用いられるものです。

・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
   人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織です。

・京都議定書
   平成9年12月に161か国の参加のもと、京都市で、気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議(COP3)が開催されました。この会議で、2000年以降の地球温暖化対策の国際的な取組みについて議論され、1990年を基準年とし、2008年から2012年の目標期間の締約国全体の対象ガスの排出量を削減することを内容とする「京都議定書」が採択されました。我が国については6%の削減目標が定められています。

・魚礁
   魚が多く集まる、海底に岩のある所で、石・ブロック・廃船などを海中に沈めた人工魚礁もあります。

・グリーン購入
   製品やサービスを購入する際に、その必要性を十分に考慮し、購入が必要な場合には、できる限り環境への負荷が少ないものを優先的に購入することです。

・グリーンツーリズム
   農山漁村地域において自然・文化、農林漁業とのふれ合いや人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動(第三次生物多様性国家戦略より)。

・グリーン・ブルーツーリズム
   グリーン・ブルーツーリズムとは、都市の人々が農山漁村の民宿やペンションに宿泊滞在して、農山漁村生活や農林漁業体験を通じ地域の人々と交流したり、川や海・田園景観などふるさとの風景を楽しむ余暇活動のことをいう。

・クールビズ、ウォームビズ
   温室効果ガス削減のために、夏のエアコンの温度設定を28℃に設定することを呼びかけていますが、そういうオフィスで快適に過ごすためのビジネススタイルがクールビズです。
   また、暖房に頼りすぎず、冬のオフィスを暖かく、快適に過ごすビジネススタイルをウォームビズと呼びます。

・建設リサイクル法
   あ資源の有効利用や廃棄物の適正処理を推進するため、建設廃棄物(建設工事で出る廃棄物)の分別・リサイクルなどを定めた法律です。
・公害防止協定
   地域住民の健康の保護と生活環境の保全及び地球環境の保全を図ることを目的に、法令を補完し、法令よりも厳しい排出基準等を設定することなどにより地域と企業の実情に応じたきめ細かい指導を行うため、千葉市以南の臨海部に立地する主要企業と県及び地元市との間で締結しているものです。
・光化学スモッグ
   工場や自動車などから排出された揮発性有機化合物(VOC)や窒素酸化物(NOx)が太陽の紫外線を受け、光化学反応を起こし、光化学オキシダントが生成されます。このオキシダントが原因で起こる光化学スモッグは、日ざしの強い夏季に多く発生し、目をチカチカさせたり、胸苦しくさせたりすることがあります。
・公共用水域
   河川、湖沼、港湾、沿岸海域など、広く一般の利用が可能な水域及びこれらに接続する下水路、用水路等をいいます。
・高度処理型合併処理浄化槽
   通常の合併処理浄化槽よりも有機物の除去率が高い浄化槽や、通常の合併処理浄化槽では十分に処理できない窒素やりんも除去できる機能を持った浄化槽です。
・コージェネレーションシステム
   一種類の一次エネルギー(例えば燃料)から連続的に二種類以上の二次エネルギー(例えば電力または動力と温度レベルの異なる熱)を同時に発生させる設備です。
・個体群(こたいぐん)
   ある空間内に生育・生息する同じ種の個体の総体。したがって、「個体群」は種の存在の具体像であり、個体や、複数種の個体群の集合体としての群集とならんで、生物の存在様式を規定する基本単位の一つとみなされる。
・ゴミゼロ運動
   関東甲信越静の11都県では毎年5月30日(ゴミゼロの日)に近い日曜日を「関東地方環境美化行動の日」に定めて、千葉県は昭和57年度から実施しています。この運動では、空き缶等の収集活動を中心に街頭での広域的な統一美化キャンペーンを行っており、一斉収集活動には、県内で毎年50万人以上の人が参加しています。

【さ行】

・財団法人千葉県環境財団
   自然環境の保全、再生及び活用のための事業を行なうとともに、大気汚染、水質汚濁等の公害の発生を防止し、環境保全に関する調査研究及び知識の普及啓発を図り、健康にして豊かな郷土の建設に寄与することを目的として昭和49年12月に設立された財団です。

・再生(さいせい)
   本来の姿が損なわれた自然環境を、自然の回復力や人為的な措置(造成、植栽等)によって、望ましい状態をつくりだすこと(回復・修復すること)。

・サステナブルツーリズム
   「持続可能な観光」という意味で、地域にある自然・文化・歴史遺産などを活用し、環境の保全、地域コミュニティの維持、長期的な経済的利益を達成することを目指すもの。
   その形態により、グリーン・ブルーツーリズム(農山漁村での滞在型余暇活動)、エコツーリズム(地域の自然を楽しみ、理解する観光)、ヘルスツーリズム(治療・療養のほか、ストレス解消、体力増強など健康増進を目的とした旅行)などがある。

・三番瀬
   東京湾の最奥に位置し、浦安市、市川市、船橋市、習志野市の埋立地に三方を囲まれている約1,800haの干潟・浅海域です。

・里海(さとうみ)
   昔から豊かな海の恵みを利用しながら生活してきている、里山と同様に人のくらしと強いつながりのある地域を里海と呼ぶ(第三次生物多様性国家戦略より)。

・里沼(さとぬま)
   里山と同様に、人のくらしと強いつながりのある湖沼、池沼を「里沼」と呼ぶこととする。池沼、ため池は、里山の要素であるが、千葉県では印旛沼と手賀沼は生物多様性からも、人の生活からも特筆すべき存在であることから、特に里沼として取り上げた。

・里山(さとやま)
   里山という言葉は、江戸時代の林業政策に関する文書にその源泉を辿ることができる。その中で里山は農民に森林利用を許可する山とされていた。
   里山という用語は、近年広く使われるようになったが、統一した概念があるわけではない。ここでは田畑を含む農村集落と農村周辺の山林(農用林)の自然のセットをさして里山と呼ぶことにする。この概念は「里やま」と表現されるものと同一である。    里山は、関東地方の平地部ではクヌギやコナラ、シイといった広葉樹による林を伴う。このような林は、薪、炭の供給や落葉による堆肥づくりなど、地域の経済活動と密着していたが、石油エネルギーへの転換、また開発や防災事業によって環境が激変したり、失われているのが現状である。さらに千葉県の里山には谷津田という、小規模で湧水を水源とする湿田が数多くあったが、圃場整備や宅地開発、耕作放棄などでその姿を大きく変えつつある。そのため、日本人にとって原風景とも言える里山の景観、里山生息していたさまざまな生物も絶滅・消滅の危機にある。

・COD(化学的酸素要求量)
   BODとともに有機物などによる水質汚濁の程度を示すもので、酸化剤を加えて水中の有機物と反応(酸化)させた時に消費する酸化剤の量に対応する酸素量を濃度で表した値です。数値が大きくなるほど汚濁が著しくなります。

・資源(しげん)
   人間の生活や産業等の諸活動の為に利用可能なものをいう。広義には人間が利用可能な領域全てであり、狭義には諸活動に利用される原材料をさしていう。

・自然学校
   自然豊かな場所で、指導者が常駐し、環境学習プログラムを提供していくところです。地域の市民団体によるものや、有志がボランティアで行うもの、専門家による民間団体によるものなど様々な形があります。

・自然環境保全協定
   1ヘクタール以上の宅地・ゴルフ場等の造成に際して、自然環境の改変を最小限にとどめるために、必要に応じて事業者、市町村、県の3者間で、自然の保存、植生の回復及び緑化率等をその内容として締結する協定です。18年3月末における締結中の協定の総数は155件、協定面積合計12,405.8ha、緑地保全面積6,389.2haとなっています。

・自然再生事業(しぜんさいせいじぎょう)
   自然再生事業は、過去に失われた自然を積極的に取り戻すことを通じて生態系の健全性を回復することを直接の目的としている。具体的には、直線化された河川の蛇行化による湿原の回復、都市臨海部における干潟の再生や森づくりなどをあげることができる。自然再生事業は、単に景観を改善したり、特定の植物群落を植裁するというのではなく、その地域の生態系の質を高めひいてはその地域の生物多様性を回復していくことに狙いがある。また、地域固有の生物を保全していくためには、核となる十分な規模の保護地域の保全とともに、生息生育空間のつながりや適正な配置を確保していく生態的ネットワークの形成が重要だが、自然再生事業は、この生態的ネットワークを形成していく上でも有効な手段となる。なお、この自然再生事業は、人為的改変により損なわれる環境と同種のものをその近くに創出する代償措置として行うものではない。自然再生事業の実施には、科学的データを基礎とする丁寧な準備・作業と多様な主体の参画と連携が重要である。

・自然資源(しぜんしげん)
   自然界に存在し、利用可能な資源を自然もしくは天然資源という。自然資源の多くは、地球誕生以来存在し膨大な量ではあるものの決して無尽蔵ではない。産業革命以降、人類はあらゆる自然資源を搾り取って活用することで産業を成り立たせてきた。その自然資源も近い将来枯渇するといわれている。その最たる物が原油である。今後、海底資源や未開発地の資源の捜索など、多大な困難が伴い経済的に非効率な開発が必要となることも予測される。このため、資源の再生利用を積極的に進めようとする動きがある。

・自然保護(しぜんほご)
   自然環境を開発等の人為から護ること。また、自然環境の賢明で合理的な利用を行いながら護る意味でも使われる。かつては、尾瀬や南アルプスなどの原生自然を開発から守る際に「自然保護」の必要性が訴えられた。その後、二次林等のより身近な自然環境についても、「自然保護」が唱えられるようになった。
   原生自然のように、人手を入れないことにより保護する場合から、利用を含めた人為的な維持管理を加えて目標とする望ましい状態を保つ場合まで、具体的な内容は対象とする自然環境により異なる。

・持続可能な利用(じぞくかのうなりよう)
   「持続可能な開発」または「持続可能な発展」と訳される「sustainable development」の概念は、1992年の地球サミットにおける「環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言」の基本概念となって以来、持続可能性は環境問題を考える上で最も重要な概念の一つとなっている。再生できない資源は有限であり「持続可能な開発」はありえない。それゆえ「持続可能な利用」をめざし叡智を結集させる必要がある。

・自動車リサイクル法
   「使用済自動車の積極的なリサイクル・適正処理を行うための法律です。自動車メーカー・輸入業者に、シュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類の引取・リサイクルを義務づけ、その処理費用を、リサイクル料金として、クルマの所有者が負担することにしています。

・循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)
   廃棄物等の発生を抑制し、廃棄物等のうち有用なものを循環資源として利用し、適正な廃棄物の処理をすることで、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会のことをいう。
   世界的にリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)という、いわゆる「3R」を推進し、循環型社会の構築を推進しようとする気運が高まっている。しかし日本の現状を分析すると、ごみ(一般廃棄物)は、排出量の減少は進んでいない。3R対策、特にリデュース・リユース対策は、その重要性に照らしても十分な成果を挙げてきたとはいえない状況にある。現在、その3R をいかにして進めていくかが緊急の課題となっている。3R を進める上で、我々の日常生活から発生するごみをどうしていくかは、全ての国民に共通する最も身近な問題である。

・循環型社会形成促進基本法
   廃棄物処理やリサイクルを推進するための基本方針を定めた法律として、平成12年に制定された法律です。資源消費や環境負荷の少ない「循環型社会」の構築を促すことを目的としています。

・順応的管理(じゅんのうてきかんり)
   不確実性を伴う対象を取り扱うための考え方・システムで、特に野生生物や生態系の保護管理によく用いられる概念である。アダプティブマネジメントまたは適応的管理と言われる場合もある。
   生態系は、ある働きかけに対してどうなるかを確実に予測することが難しく、動的に絶えず変化し続ける。また境界がはっきりしないという性質を持つ不確実な系なので、どんなに詳細な調査を進めても、この問題に対する完全な解決は難しいとされている。
   そこで当初より「生態系が不確実なもの」という認識を持ち、「当初の予測がはずれるという事態が起こりうる」ことをあらかじめ管理システムに組み込み、恒常的なモニタリングを行いながら、結果に合わせて対応を柔軟に変えていくという考え方を順応的管理という。またその課程においては、客観性を保持するために、専門家・市民・NPO・企業・行政等の多様な主体による協働と合意形成が必要である。

・省エネラベル
   製品の環境側面に関する情報を提供するものであり、1)「エコマーク」など第三者が一定の基準に基づいて環境保全に資する製品を認定するもの、2)事業者が自らの製品の環境情報を自己主張するもの、3)ライフサイクルアセスメント(LCA)を基礎に製品の環境情報を定量的に表示するもの等があります。

・硝酸性窒素(亜硝酸性窒素)
   硝酸塩に含まれている窒素のことで、水中では硝酸イオンとして存在しています。肥料、家畜のふん尿や生活排水に含まれるアンモニアが酸化されたもので、地下水汚染や富栄養化の原因となります。また、多量に人体に摂取された場合、一部が体内で亜硝酸塩に還元されてメトヘモグロビン血症などの障害を起こします。

・食育
   様々な体験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることであり、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものです。

・新エネルギー
   新エネルギーとは、「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」において、「新エネルギー利用等」として、(ア)石油代替エネルギーを製造、発生、利用することと等のうち、(イ)経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ(ウ)石油代替エネルギーの促進に特に寄与するもの、とされており、中小水力、太陽光発電、太陽熱利用、風力発電、バイオマス発電等をその範囲としています。

・森林組合
  森林組合法に基づいて運営される森林経営の合理化と森林生産力の増進、森林所有者の経済的・社会的地位の向上をはかるために組織される森林所有者の協同組合です。

・森林施業計画
  森林所有者などが森林づくりについて自主的に長期の方針を定めた上で、造林、保育、間伐、伐採といった森林施業の5カ年の計画をたて、市町村長などの認定を受けるものです。森林所有者などが自らの意志に基づいて適切な森林施業を行うことを期待するもので、計画に従って行われる森林づくりに対してさまざまな支援策が講じられています。

・3R(スリーアール)
   Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つの英語の頭文字を表し、それぞれの意味するもの次のとおりです。
  • Reduce(リデュース):廃棄物自体の発生を少なくなるようにすること
  • Reuse(リユース):使用済みになっても、その中でもう一度使えるものは廃棄しないで再使用すること
  • Recycle(リサイクル):再使用ができずにまたは再使用された後に廃棄されたものでも、再生資源として再生利用すること
この3つのRに取り組むことで廃棄物を限りなく少なくし、焼却や埋立処分による環境への悪い影響を極力減らして、限りある地球の資源を有効に繰り返し使う社会(=循環型社会)をつくろうとするものです。

・生産緑地
   市街化区域内にある農地の緑地機能に着目して、公害や災害の防止、都市の環境保全などに役立つ農地を計画的に保全し、良好な都市環境の形成を図るために設けられた制度です。

・生物指標
   生態学的によく研究され、生息できる環境条件が限られていることが判明している生物の生息状況や変化などを参考にして、ある地域の環境の質などを類推・評価することです。

・生態系(せいたいけい)
   生態系という語は1935年にイギリスの生態学者アーサー・タンスレーによって初めて使われた。ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物的環境をまとめ、ある程度閉じた一つの系と見なすとき、これを生態系と呼ぶ。生態系は生態学的な単位として 相互作用する動的で複雑な総体と考えられる。
   生態系は大きく、生産者、消費者、分解者に区分される。植物(生産者)が太陽光から系にエネルギーを取り込み、これを動物(消費者)などが利用し、その遺体や排泄物などは土壌動物や微生物(分解者)によって分解される。これらの過程を通じて生産者が取り込んだエネルギーは消費されていき、生物体を構成していた物質は無機化されていく。それらは再び植物や微生物を起点に食物連鎖に取り込まれる。これを物質循環という。
   通常ある生態系における生物群は他の生物間や環境とバランスのとれた関係になっている。新たな環境因子や生物種などの導入は著しい変化を及ぼし、生態系の崩壊や在来種の絶滅などを引き起こす事も考えられる。

・生物多様性(せいぶつたようせい)
   生物多様性にかかわる国際的な理解や保護、利用に関する取り決めを示した生物多様性条約では、生物多様性(biological diversity)とは「すべての生物の変異性(variability)とし、種内、種間、生態系の3つのレベルに区分される」としている。このように生物多様性(biodiversity; biologicaldiversity)は、遺伝子(種内)から、種(種間)、そして生態系に至るあらゆるレベルの生物の変異・変化を示す概念である。
   1986年、アメリカ合衆国で開催された「生物学的多様性に関するナショナル・フォーラム」で初めて「生物多様性(Biodiversity)」という言葉が使われた。1988年、昆虫学者のE.O. ウィルソンとF.M.ピーターが編集した同フォーラムの報告書が「Biodiversity」であり、これはベストセラーとなり、日本でも「生命の多様性」として出版された。
   第三次生物多様性国家戦略においては、「生物多様性」を「つながり」と「個性」と言い換えることができるとしている。「つながり」は食物連鎖や生態系のつながりなど、生きもののあらゆるつながりであり、「個性」は個体間の違いや地域間の違いなどである。そして、「つながり」と「個性」を創り出したのが、長い進化の歴史であるとしている。

・生物多様性条約(せいぶつたようせいじょうやく)
   本条約は、1992年にリオデジャネイロにおいて開催された国連環境開発会議(UNCED)における主要な成果として、「気候変動に関する国際連合枠組条約」とともに採択され、同年6月13日に日本も署名した(署名開放期間内に168か国が署名を行った)。1993年12月29日にこの条約は発効した。2006年4月現在、187か国及びEC が締結。ただし、米国は未締結。この条約は、(1)地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること、(2)生物資源を持続可能であるように利用すること、(3)遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること、の3つを目的とする(条約第1条)。

・生物多様性国家戦略(せいぶつたようせいこっかせんりゃく)
   生物多様性条約第6条に基づき、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する基本方針と国のとるべき施策の方向を定めたもの。日本政府は1995年10月に地球環境保全に関する関係閣僚会議において「生物多様性国家戦略」を決定した。その後、国家戦略については、毎年実施状況を点検しており、2002年3月には「生物多様性国家戦略」の包括的な見直しを踏まえ、「新・生物多様性国家戦略」が関係閣僚会議において決定された。2007年11月には「第3次生物多様性国家戦略」が閣議決定された。

・精密水準測量
   地盤沈下の状況を監視するために行う高精度の水準測量で、地盤変動を0.1mm単位で求めています。

・千の葉エコプロジェクト
   県民、NPO等の民間団体、事業者などが循環型社会をつくるために取り組んでいる活動事例(=エコプロジェクト)を千葉県が募集し、選定された取組を「環境樹」の形にして紹介する事業です。1つ1つの取組を「葉」に例え、20年度までに、1000事例(千の葉)以上を紹介することを目指しています。


【た行】

・ダイオキシン類
   廃棄物の焼却等の過程で非意図的に生成される化学物質で、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCCD)など、210種の有機塩素化合物を総称していいます。分解しにくい性質を持つことから、生物の体内に蓄積しやすく、発がん性、催奇形性、免疫機能の低下などの毒性を有するといわれています。
・多自然川づくり
   河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うことです。
・棚田
   山の斜面や谷間の傾斜地に、階段状に造られている水田を「棚田」といいます。小さなものまで数えれば千枚にも達するとして「千枚田」といわれるところもあります。
・単体規制
   道路運送車両法等により、自動車の製造年次ごとに、窒素酸化物や粒子状物質等について、許容される排出ガス量が定められています。
・(都道府県)地球温暖化防止活動推進センター
   「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、地球温暖化対策に関する普及啓発を行うことなどにより地球温暖化防止に寄与する活動の促進を図ることを目的として設立された組織です。全国に一箇所及び都道府県に各一箇所を指定することが決められています。千葉県では、平成13年2月に財団法人千葉環境財団を千葉県地球温暖化防止活動推進センターに指定しています
・千産千消
   千葉県産の新鮮でおいしい、安全・安心な農林水産物を、千葉県内の皆さんに消費していただくことです。一般的には「地産地消」と書きますが、千葉県としての独自の取り組みを表現するために「地」の部分に同音で千葉を意味する「千」を使って「千産千消」としています。「千産千消」は遠隔地から運ぶために使われる燃料、その消費に伴い発生する二酸化炭素の削減にも寄与します。
・窒素酸化物
   石油、ガス等燃料の燃焼に伴って発生し、その発生源は工場、自動車、家庭の厨房施設等、多種多様です。燃焼の過程では一酸化窒素(NO)として排出されるが、これが徐々に大気中の酸素と結びついて二酸化窒素(NOX)となります。環境基準はこの二酸化窒素について定められています。窒素酸化物は人の呼吸器に影響を与えるだけでなく、光化学スモッグの原因物質の一つとなります。
・ちばの木認証制度
   千葉県内の森林から,森林に関する法令に基づき適切な手続きがなされたうえで伐採された木材及び製材加工された木材製品を「ちばの木」としてちばの木認証センターが認証する制度です。このことにより、「千産千消」として県産材の利用拡大を図っています。
・鳥獣保護区
   鳥獣の保護繁殖を図ることを目的として、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」に基づいて環境大臣又は都道府県知事が指定する区域です。鳥獣保護区では、鳥獣の捕獲が禁止されます。
・地理情報システム,GIS (Geographic Information System)(ちりじょうほうしすてむ)
   電子地図をベースとして地理的な位置の情報や空間の情報を属性データと合わせて統合的に処理、分析、表示するデータベースシステムのこと。
   生物多様性の保全を推進するためには基礎となる地域の特性(地形、土地利用)の現況、さまざまな生物種の分布と生息環境に関する情報を統合的にデータベース化する必要があり、これらの情報を絶えずモニタリングしながらその保全策を検討する情報システムの構築が重要である。
・中山間地域(ちゅうさんかんちいき)
   中山間地域とは、平野の外縁部から山間地域に至る地域をいう。
・潮間帯(ちょうかんたい)
   潮の干満により、水没と干出とを繰り返す場所をいう。満潮時に海水が最も高く到達す るところを高潮線、干潮時に最も干出するところを低潮線という。
・データベース
   大量のデータを効率よく集中管理するために、情報の入力、更新、検索などのための形式を提供し、実行するためのシステム。千葉県の生物多様性情報システムでは、地理情報システム(GIS)をベースにした生物の分布、環境情報等を統合したデータベースの構築を目指している。【関連:地理情報システム】
・デポジット制度
   製品価格に一定金額の「デポジット(預託金)」を上乗せして販売し、製品や容器が使用後に返却された時に預託金を返却することにより、製品や容器の回収を促進する制度です。
・電子マニフェスト制度
   従来の産業廃棄物管理票(紙マニフェスト)に代えて、情報処理センターと排出事業者、収集運搬業者、処分業者が通信ネットワークを使用して、排出事業者が委託した産業廃棄物の流れを管理する仕組みです。
・天然ガスかん水
   天然ガスとヨウ素が溶存している塩分を含む地下水で、太古の海水が地下深くに閉じ込められたものです。
・天然林、天然生林
   この計画書においては、森林の更新のいかんにより、植栽あるいは播種により成立した「人工林」に対して、天然更新(周辺の樹木から自然に落ちてきた種子が発芽し育つこと)により成立した森林を、その後の保育管理において人為が加わったかどうかを問わず「天然林」と呼びます。 さらに、更新にあたって補助作業(自然に落ちてきた種子が発芽しやすいようにする地掻きなどの作業)や保育作業(間伐など)が加わった森林を「天然生林」と呼びますが、人工林と天然林を対比していう場合は、天然生林は天然林に含まれます。
・特定鳥獣保護管理計画
   増えすぎたり、減りすぎた動物の種の地域個体群を特定し、適正な個体数に導くための計画です。地域個体群の安定的な存続を前提として、適切な保護管理(個体数調整を含む)によって人と野生鳥獣との共生を図ることを目的としています。
・特別緑地保全地区
   都市内に残された緑地を県知事または市町村長が計画決定することにより、一定規模以上の建築行為、木竹の伐採などの行為について許可制とし、現状凍結的な厳しい規制を行い保全する地区です。この代償措置として損失補償、土地の買い取り及び固定資産税の減免措置等がとられています。

【な行】

・二次汚濁
   河川・水路等の公共用水域から流入する汚濁(一次汚濁)のほか、富栄養化によりプランクトンが増殖し、その死骸などにより新たに二次的な汚れが発生することで、閉鎖性水域で発生しやすい現象です。
・二次林(にじりん)
   元の植生がかく乱(土砂崩れ、山火事、伐採等)を受けた後に成立する森林をいう。
・熱回収
   廃棄物等から熱エネルギーを回収することです。焼却から得られる熱は、ごみ発電をはじめ、施設内の暖房・給湯、温水プール、地域暖房等に利用されています。
・農業集落排水
   農業用用排水の水質保全、農村の生活環境改善、自然環境の保全などを目的として整備しているもので、公共下水道とほぼ同様の機能をもつ施設です。公共下水道が大規模な処理場で集中して汚水処理を行うのに対し、小規模な処理場を置き、分散して汚水の浄化を行います。
・ノンフロン
   フロンや温室効果の高い代替フロンを使用しない製品で、アンモニア、イソブタンなどが使われています。

【は行】

・バイオマス
   バイオマスとは、バイオ(生物資源)とマス(量)を組み合わせた言葉で、「再生可能な生物由来の有機性資源で化石燃料を除いたもの」を指します。その特徴として、太陽エネルギーを使って生物が合成したものなので、生命と太陽がある限り枯渇しない再生可能な資源であること、及び二酸化炭素を吸収することにより生じたものであるため、燃焼させた場合においても、全体として見ると大気中の二酸化炭素量を増加させないという特性を有します。
・バイオマスタウン
   地域において、広く地域の関係者の連携の下、バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオマス利活用が行われているか、あるいは今後行われることが見込まれる地域です。
・バイオマスプラスチック
   とうもろこしや木材等のバイオマスによって作られるプラスチック製品です。植物等を原料としていることから、燃やしてもカーボンニュートラルの考え方によりCO2を増やさない効果がある他、微生物によって分解される性質もあります。
・パークアンドライド、サイクルアンドライド
   パークアンドライドとは、都市の郊外部において自動車を駐車し、鉄道・バス等の公共交通機関へ乗り換える手法をいいます。同様に自転車を利用したものをサイクルアンドライドといいます。
・PRTR制度
   人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質について、事業者が環境への排出量等を自ら把握し、届け出る制度です。社会全体として化学物質の管理を進め、環境保全上の支障を未然に防止していくための基礎となる枠組みです。
・ヒートアイランド現象(ひーとあいらんどげんしょう)
   都市域は、緑地が少なく、地面はコンクリートやアスファルトで覆われ、またビル等の建築物が高密度で造られている。これらにより、太陽エネルギーが熱として蓄えられ、また冷暖房や自動車からの排熱もあり、都市域の気温が周囲と比べて高くなる現象をいう。
・ビオトープ
   ビオトープとは、ギリシャ語の生物を意味する「bios」とドイツ語の場所を意味する「Topes」 の合成語であり、直訳すると「生物の生息・生育空間」となる。ここではこの語義に立ち戻り「多様な、または貴重な野生動物が生息・生育する空間であり、その状態を保持または目指して管理される場所」と定義する。ビオトープという言葉は、造園や土木工学的な視点から「人為的に創出された生物の生息環境」としてとらえられることもある。
・ppm
   100万分のいくつかを表す単位。主に濃度を表す時に使われる。「parts per million」の頭文字をとったもの。
・品種(ひんしゅ)
   生物の分類の基本単位は「種」だが、同一の種を少数の形質の差異に基づいてさらに細かく分類する場合、「亜種」、「変種」、「品種」という下位単位を用いる。「亜種」、「変種」は、別種とするほどではない程度の地理的な隔離や形態の変異が見られる自然集団に対して用いられるのに対し、「品種」は一般に栽培、飼育などの目的で人為的に固定された形質をもつ集団に対して用いられる。農業や園芸の目的で栽培される植物の場合、「栽培品種」と呼ぶ。
・フィールド・ミュージアム
   日本各地で「フィールド・ミュージアム」という名称の施設ないし事業が数多くみられるようになったが、その内容には統一された基準などはない。フィールド・ミュージアムは和製英語である。フィールド(field)という語には「現場」とか「現地」といった意味があり、この場合ミュージアム(museum)は「博物館」であるから、おおまかには「現場での活動を中心とした博物館活動」と捉えることができる。
   千葉県内での事例としては「房総の山のフィールド・ミュージアム」がある。これは千葉県立中央博物館が平成15年度より開始した事業で、多くの人が房総丘陵の自然と文化に触れ、学び、楽しむための場を提供することを目的としている。この事業は、山の自然や文化そのものを「博物館資料」や「展示物」と考える新しい形の博物館活動である。
   (注)アメリカ合衆国のシカゴに「The Field Museum」という有名な博物館があるが、これはMarshall Field氏にちなんだ名称で、ここでいうフィールド・ミュージアムとは関係がない。
・富栄養化
   閉鎖性水域において、河川などから窒素、りんなどの栄養塩類が運び込まれて豊富に存在するようになることをいいます。このことにより、植物プランクトンやそれらを捕食する生物の増殖が盛んになり、プランクトンが急激に増殖する一方、それを餌とする魚類等の生物の増殖が追いつかないため、アオコ、赤潮の発生等の問題が発生します。
・ブルーツーリズム
   漁村において自然・文化、漁業体験や人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動をいう。
・フロン類
   クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)といった化学物質の総称です。CFC,HCFCはオゾン層破壊効果を持ち、HFCは、オゾン層は破壊しませんが、強い地球温暖化効果を持ちます。
・閉鎖性水域
   地形などにより水の出入りが悪い内湾、内海、湖沼等の水域をいいます。
・保安林
   水源のかん養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公共目的を達成するため、森林法に基づき農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されます。
・保護(ほご)
   保護とは、自然環境から人為的な影響を極力排除して、あるがままの状態におくことをいう。「自然保護」という場合には、「保全」的な意味で使われることも多い。
・保全(ほぜん)
   保全とは、自然環境の望ましい状態を目標として、必要に応じて人為的な管理も加えながら、その状態を保つことをいう。また、それを賢く利用することも含まれる。
・ポリ塩化ビフェニル(PCB)
   水に溶けない、化学的に安定、絶縁性に優れる、沸点が高い等の特性を持つ工業的に合成された物質であり、コンデンサ、トランス、熱媒油・潤滑油、感圧複写紙等に利用されていましたが、健康及び環境への有害性が確認され、製造が禁止されています。

【ま行】

・緑の基本計画
   各市町村が、独自性、創意工夫を発揮しながら、住民の意見を反映させ、緑地の適正な保全及び緑化の促進を総合的かつ計画的に進めるため、その目標と実現のための施策などをまとめたものです。
・ミレニアム生態系評価(みれにあむせいたいけいひょうか)
   原題は「Millennium Ecosystem Assessment(略称“MA”)」。2001年から2005年にかけて実施された国連による生態系の科学的評価のこと。2000年の国連総会において、当時のコフィ・アナン事務総長が「私たち人類:21世紀における国際連合の役割」と題して行った演説に応えて実施された。国連の援助の下、国連環境計画(UNEP)を事務局として世界各国の2,000人を超える専門家が係わった。その目的は、生態系の変化が人間の福利に与える影響を評価することであり、生態系の保全と持続的な利用を進め、人間の福利への生態系の貢献をより高めるために、われわれがとるべき行動は何かを科学的に示すことにあった。
・木育(もくいく)
   子どもを始めとするすべての人々が、木材に対する親しみや木の文化への理解を深め、木の良さやその利用の意義を学ぶ木材利用に関する教育活動で、木や森林に対する豊かな心を育みます。
・モニタリング
   「モニタリング」とは一般的に日常的・継続的な点検のことをいう。自然環境の保全のためには、科学的なデータが不可欠で、動植物やその生息環境をはじめとするさまざまな自然環境を長期的に監視することが必要で、基礎的な環境情報を継続的に収集して蓄積することが重要である。蓄積された情報から、生物種の増減をはじめとするさまざまな自然環境の変化の兆候を早期に把握し、生物多様性の保全のための対策をとることができる。このような、継続的な実態把握を行い、あらかじめ設定した目標に対して、目標と実際の状況(実績)を比較し、基準以上の差異が生じた場合には適時にアクションをとることを、モニタリングという。

【や行】

・谷津田(やつだ)
   里山景観の構成要素の一つ。千葉県では一般に台地の裾に刻まれた谷にある水田を指している。千葉の谷津田及びこれをとりまく雑木林や畑、集落のセットは野生動植物の宝庫であることから多くの注目を集めることになった。千葉県では、伝統的な谷津田が多く残されており、野生動物にとっての好適なビオトープとなっている。一方、近年、開発が進められたり、耕作が放棄されたりする谷津田も多く、千葉県の生物多様性の保持・復元を進めていく上で、伝統的な農業に育まれた自然豊かな谷津田を将来に向けて守っていくことが大きな課題となっている。
・揚水ばっ気
   汚染した地下水を揚水しばっ気処理(液体中の溶存ガスを取り除くこと)することによって、地下水及の浄化を行うものです。

【ら行】

・ラムサール条約
   正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」であり、条約が採択されたイランの町名にちなんでラムサール条約と呼ばれます。締約国には、国際的に重要な湿地の登録や、登録地の保全と国内湿地の適正利用促進計画の作成などが求められ、日本においては、同条約に基づき、平成19年度末現在で33箇所が登録されています。
・リスクコミュニケーション
   人の活動によって加えられる環境への負荷が、環境中の経路を通じ、環境保全上の支障を生じさせるおそれを「環境リスク」といいます。この環境リスクを評価するための手法はリスクアセスメントと呼ばれており、この結果に基づく対策として、許容できないリスクは無くすか、最小限にすることが図られます。このリスク等について、事業者・住民・行政が情報の共有化を図る取り組みが、リスクコミュニケーションといわれています。
・緑化協定
   千葉県では、「自然環境保全条例」第26条の規定により、一定規模以上の工場用地、住宅用地等の土地所有者または管理者を対象として、緑化の実施及び維持管理についての協定を、企業・地元市町村・県の三者で締結しています。18年3月末における締結中の協定の総数は880件、緑地面積合計1,561 haとなっており、公害、災害等の防止のみならず、都市部に著しく不足している緑地の保全・創造に寄与しています。
・緑地協定
   土地所有者等の合意によって、既存の樹木等緑地の保全や生垣の設置等緑化に関する協定を締結し、住民の積極的な協力によって計画的な緑化の推進を図る制度です。
・レッドデータブック
   絶滅のおそれのある野生生物の情報をとりまとめたものを一般に「レッドデータブック:Red Data Book (RDB)」という。最初は、国際自然保護連合(IUCN)が、1966年に発行した。これは、IUCNの種の保存委員会が中心となって世界各国の研究者から寄せられた絶滅のおそれのある野生生物に関するデータをとりまとめて公表したものである。この折りに絶滅の危険度の最も高い種を記載したリストの表紙が赤色であったことが、「レッドデータブック」の名前の由来になっている。
   日本では、1991年に環境庁(現・環境省)が『日本の絶滅のおそれのある野生生物』というタイトルでレッドデータブックを作成し、2000年からはその改訂版が、植物や動物の大きなグループごとに順次発行されている。千葉県においては、千葉県環境基本計画で掲げた「自然との共生」の理念のもとに「生物多様性の確保」という観点から、県内における絶滅のおそれのある野生動植物の現状と保護のあり方を明らかにした「千葉県レッドデータブック-植物編-」を平成10年度に、同じく動物編を平成11年度にとりまとめ、平成12年度には植物編と動物編を一冊にまとめた普及版を作成した。「千葉県レッドデータブック」は、法的規制等の強制力を伴うものではないが、多くの県民の方々に貴重な野生生物の現状を理解し、自然との共生のあり方を考えていただくことを目的として作成したものである。
・レッドリスト
   レッドリストとは、絶滅のおそれのある生物(動植物)のリストのことである。通常、 種または亜種の水準で記載され、絶滅の危険性の高さによるカテゴリー分けがなされてい る。
   「千葉県レッドリスト」とは、県内の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト(一覧表)である。レッドリストは生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を評価し選定したもので、規制等の法律上の効果を持つものではないが、絶滅のおそれのある野生生物の保護を進めていくための基礎的な資料として広く活用されることを目的としている。
   レッドデータブックに掲載されることは、対象種が絶滅の危機に瀕していると同時に、その種が保護を必要としていることを示している。この点を踏まえ、評価基準は保護の必要度の高さから区分がされている。現在、県内で生息・生育が確認されている種のカテゴリーは4 段階で、長期にわたって確実な生息・生育情報のない、消息不明または絶滅したものを加え、全体で5段階としている。

レッドデータカテゴリー対応表
IUCN(国際自然保護連合) 環境省(H18.8) 千葉県(H18.3)
Extinct (EX) 絶滅 絶滅、 消息不明:X
Extinct in the Wild (EW) 野生絶滅
Critically Endangered (CR) 絶滅危惧IA類 最重要保護生物:A
Endangered (EN) 絶滅危惧IB 類 重要保護生物:B
Vulnerable (VU) 絶滅危惧II類 要保護生物:C
Near Threatened (NT) 準絶滅危惧 一般保護生物:D
Data Deficient (DD) 情報不足
絶滅のおそれのある地域個体群