千葉県環境生活部自然保護課Chiba Biodiversity Center生物多様性センター

千葉県の生物多様性

1.生物多様性とは

 多様性とは、モノやコトの状態を示す言葉です。ある空間に、より様々なモノやコトがあるほど多様性が高いわけです。生物については、種の多様性だけでなく、同じ種の中にも遺伝的な多様性があります。また、環境の違いに応じてできる群集・群落も多様です。
  生物多様性(biodiversity; biological diversity)とは、このように遺伝子レベルから種のレベル、さらには生態系のレベルに至る生命の変異・変化とその関係の総体であり、「生命のにぎわいとつながり」と言えます。

2.千葉県の生物多様性

 千葉県は日本列島のほぼ中央に位置し、暖温帯の温暖で湿潤な気候の下、スダジイやカシ類などの常緑広葉樹林と、コナラ、クヌギ、イヌシデなどの落葉広葉樹林が広がっています。県内の最高峰は標高 408m の愛宕山で、高い山こそありませんが、県南部には起伏に富んだ房総丘陵が広がっています。県北部では、細い谷が樹枝状に入り組んだ北総台地を、九十九里平野と東京湾岸の平野が挟むように位置しています。

 千葉県沖の太平洋は、暖流の黒潮と寒流の親潮とが出合う場所となっており、利根川や栗山川、夷隅川では北方系の回遊魚であるサケが遡上する一方、館山湾では亜熱帯性の造礁サンゴが見られます。また、東京湾の干潟や南房総の岩礁海岸、九十九里の砂浜など、地域ごとに海岸環境が異なります。さらに県北部には大きな河川や湖沼があり、九十九里平野には湿地が点在するなど、多様な淡水環境も見られます。

 縄文時代の貝塚が北総地域を中心に高密度で分布していることからもわかるように、豊かな自然を利用して、古くから人々の生活が営なまれてきました。現在、台地や緩やかな丘陵地には、田畑や雑木林、スギの植林など多様な環境がモザイク状に配置された里山の景観が広がっています。人々は里山の自然に手を加え、管理をすることで、日々の暮らしに必要な食料や水、燃料、木材などの資源を持続的に利用していく生活をおくっていました。こうした里山の水田や雑木林では、多様な生物もみられます。
 一方、海岸付近では、魚介類の採集がなりわいの集落、あるいは採集と農耕の両方を営む集落が見られます。こうした地域は里海と呼ばれ、豊かな海からの恵みを受けて人々の暮らしが営まれていました。

3.生物多様性ホットスポット

 生物多様性ホットスポットとは、一般的に多種多様な生物が生育・生息する場所のことを指し、特にその保全が必要な場所と考えられます。

(1)印旛沼-野鳥の楽園-

 印旛沼は手賀沼と併せて県立印旛手賀自然公園に指定され、両沼は県内最大の水域です。以前は周辺部の都市化が進み日本で最も汚濁の激しい湖沼とされていましたが、行政・NPO・市民が一体となって水質浄化に取り組んでおり、徐々に水質が改善されてきています。また、カモ類を始め多くの渡り鳥が飛来し、渡り鳥にとって重要な繁殖地・中継地となっています。

(2)谷津干潟-ラムサール登録湿地-

 谷津干潟は、習志野市の谷津地区前面に広がった前浜干潟の一部が埋立を免れて残ったもので、面積は約40ha。潮の干満が多数の底生動物を育み、鳥類にとって豊富な餌生物を提供しており、年間で100種を超す種が確認されています。
 1993年には、ラムサール条約登録湿地として指定されています。

(3)小櫃川河口-東京湾に残された貴重な場所-

 小櫃川は、房総の清澄山系に流れを発し木更津市の北側の東京湾に注ぎ込む川で、東京湾に房総半島の土砂を運び続けています。川を流れてきた土砂は河口部で堆積し、盤州干潟を形成しています。
 近年、東京湾においては埋立などによって自然海岸や干潟・浅海域が消滅してしまっており、東京湾海岸部の本来の自然環境を有する小櫃川河口は、貴重な場所となっています。

4.生物多様性トピックス

 以下では、生物多様性に関するトピックス的な話題を分かりやすく紹介していきます。
   話題は今のところ1つのみですが、下記のような話題を順次掲載する予定です。

(1)千葉県の哺乳類

5.関連リンク

(1)千葉県生物多様性ハンドブック1「千葉県の生物多様性を守るために」

(2)生物多様性とはなにか(環境省ホームページ)