千葉県環境生活部自然保護課Chiba Biodiversity Center生物多様性センター

第2回千葉県外来種対策(植物)検討委員会 会議結果概要

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第2回千葉県外来種対策(植物)検討委員会 会議結果概要
日時平成20年8月15日(金)午後1時~3時
場所県立中央博物館会議室
出席委員 宮田 昌彦 千葉県立中央博物館 自然誌・歴史研究部長
木村 陽子  千葉県生物学会 会員
天野 誠 千葉県立中央博物館 上席研究員
谷城 勝弘 千葉県立我孫子高等学校 教諭
外来種に関する有識者 岩瀬 徹氏
大場 達之氏
県出席者 生物多様性センター3名
議事
 ・会長挨拶
 ・第1回委員会の議論の結果と確認
 ・県内の外来植物に関する有識者からの意見聴取
 ・外来種植物リストの作成について


議事の概要
有識者からの意見聴取

<外来種の重要な事例>
《主な意見》
○私は「地域本来性原理」と呼んでいるが、その地域に長い時間をかけて形成された本来の自然に一番価値があり、後から移入してきたものがそれを乱すのはマイナスだと考えている。
○「防除」というのは人間の側からの原則を立てないと判断できないため、「防除」という言葉は好ましくない気がする。
○今は安定していても将来少なくなってくるものもいるはずなので、自然状態のいわば健康診断を定期的にしていく必要がある。植生上重要なポイントは健康診断をしっかりする必要がある。同じ地点を巡回してチェックするルートセンサスは、移入種の動向を知る上で有効だろう。成田や千葉港でルートを決めて年2回見回れば、広がる前に事前にかなり分かると思う。清澄などでルートセンサスを行えば、自然の状態の健康診断にもなるだろう。
○ナガエツルノゲイトウで用水路が埋まっていたり、田んぼに入りこんでいるところもある。農林部に伝えて補助金制度を設けるなど横の連携もとってほしい。
○従来の生態系を基準にしたから外来生物という区分がでてくるに過ぎない。怖いのは外来種が悪者として強調されることだ。本来植物は、いいもの、悪いものとして色分けされるものではない。「防除」というよりも「千葉県では遠慮してほしい」ということになるのでは。人間によってもたらされただけで、植物が悪いわけではないので、単純に解釈されないよう配慮が必要だ。
○「排除」ではなく「侵入の阻止と除去」など、別の言葉の方がいい。また、外来種の「種」はおかしい。外来の分類群あるいは外来の種類だろう。「外来生物」でも妥当だと思う。
○熱帯魚を飼う水槽の中にもミズヒマワリやナガエツルノゲイトウなど、日本の自然に悪い影響を与えるものがある。外国での例を見ると、これらの中にマークしないといけないものがある。一方で、港や空港などで荷物にくっついて移入するものもあり、阻止できないものも多い。
○外来種問題では、その外来種を除去した後がどうなるかも見通しをつけておかなければいけない。ニセアカシアを防除したら、その後に何がくるのだろうか。アレチウリやオオオナモミなどの侵略的外来生物が、何を侵略したのかを把握しておく必要がある。
○セイバンモロコシがススキを駆逐しているが、完全防除は難しいので、部分排除するしかないだろう。こうした有害だが排除する手段がない種については、土地の管理方法を変えてみるとか、対策を検討する必要があり、これらも別リストにするべきだ。
○庭に植えたユッカと呼ばれるアツバキミガヨランが川に捨てられて、海辺で繁茂している例がある。地下茎であっという間に広がるが、花粉を媒介する特殊な蛾が日本にはいないため種をつけないので、その場で全部採れば完全駆除が可能だ。これが増えるとメキシコ風の景観になってしまう。
○九十九里浜などでは、アツバキミガヨランやハマオモトをよかれと思って植えている人もいるが、あれは分布を狂わせる。
○エキゾチックなものに惹かれる人が多いが、本来そこに生えているものが大切なんだということをみんなに知ってもらわないといけない。
○街路樹に鳥がくる木をということで、外来種をいろいろと植えているがあれもよくない。
○自然林の中にキーウイが生えている。これからも増えていくだろう。庭木から広がるものは押さえられないだろう。
○成田などでは廃業した植木屋の苗だまりが放置されていて、そこが散布源になっていることもある。これも問題だ。

<外来種として扱う時期について>
○明治以降を基本にして、分かっているものはそれ以前でもかまわないということでいい。(2名とも)
○情報不足、要調査リストも作ればいい

外来種植物リストの作成について

<外来種として扱う時期について>
○「明治以降で史実がしっかりしているものも含める」とする。

<外来種対策の目標について>
○「完全除去、部分除去、群落・生態系の復元」とする。
○カテゴリーが明確になった段階で、具体的な種について議論し、そのときには特徴ある群落や生態系について検討を加える。

<外来種の影響について>
○1遺伝子の問題、2種の問題、3生態系の問題(動物相への影響も含む)、4景観の問題、5社会への影響として、人の行為への影響と産業への影響ということになるのではないか。
○外来種の影響は、実際の作業の中でいろいろ出てくるので、とりまとめ前に再度検討を加える。

<侵入経路について>
○アクアリウムプランツは園芸植物の一種になるのだろうが、やっかいなものも多いので、ちゃんと明記する。
○バラスト水についても明記する。
○産業に付随して移入するものも明記する。

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