| 絶滅危惧種の保護・回復のページへ | センターのトップページへ |
| ヒメコマツ回復計画について |
◎ヒメコマツ回復計画(平成22年3月31日)ヒメコマツは山地性の常緑の高木で、樹高約 30 m、胸高直径 1 m に達するマツ科の針葉樹です。房総丘陵の個体群は、本種の標高的な分布下限であるとともに、気候的に最も温暖な地域の一つに分布する特異な個体群として、学術的に非常に重要です。しかし、房総半島のヒメコマツは、1970年代以降マツ材線虫病の影響などにより急激に個体数が減少し、現在、自生する成木は85本程度となってしまいました。また、自生する若い個体はほとんどなく、天然更新がさまざまな要因により阻害されていることが明らかとなり、県内の個体群の絶滅が危惧されています。
ヒメコマツ(ゴヨウマツ)の稚樹
※こちらから千葉県ヒメコマツ回復計画(PDF:約0.9MB)をダウンロードできます。
≪平成23年度の主な取組≫
- ヒメコマツ保全協議会の開催: 専門家・行政・NPO等で構成する協議会(平成20年度設置)を継続してを開催し、課題の検討を行います。
- 生存個体の保全: 個体数減少要因の1つと考えられるマツ材線虫病の予防のため、薬剤の試験投与とその効果検証を継続して行います。
- 系統保存: 県農林総合研究センター森林研究所、東京大学千葉演習林において、つぎ木クローン個体、実生苗、人工交配苗の維持管理を継続して行います。
- 試験植栽: 豊英島の試験植栽個体のモニタリングを継続します。また今年度は、新たに過去の生育地への植栽試験を実施します。
- 遺伝的多様性の解明: 遺伝的多様性の解明は、植栽個体や植栽地の選定など、回復計画を実行する上で非常に重要です。今年度は今後の解析に必要なサンプルの採取を開始します。
- 観察会: ヒメコマツの自生地を探訪・観察する行事を開催します。日程等は後日、生物多様性センターウェブサイトでお知らせします。
≪平成22年度の主な活動実績≫
- 生存個体の保全: マツ材線虫病予防のための薬剤の樹幹注入を行いました。株式会社ファイザーの協力を得て、注入個体の枝の分析試験を行った結果、薬剤は樹体全体に分散しており、効果が期待されます。
- 系統保存: つぎ木クローン個体、実生苗、人工交配苗の維持管理を行いました。また、さし木試験、野生個体および系統保存個体の播種試験等を実施しました。
- 繁殖状況モニタリング: 着花量調査、球果採集等によって、平成22年度の繁殖状況は良好と判断されました。
- 生育状況モニタリング: 昨年度新たに3個体の成木の枯死が確認されました。一方、新たに成木段階に達した1個体を確認しました。この他、もう1個体の成木の生育情報が得られています。
- 試験植栽: ちば千年の森をつくる会の協力もと、君津市豊英島に試験植栽を実施しました。植栽後、条件別のデータ収集を行いました。夏の猛暑により多くの個体が枯死しましたが、本格的に生育地への植栽を実施する際の貴重なデータとなりました。現在、新たな条件での試験を実施しています。
- 巨樹古木フォーラムでの講演・パネル展示・苗木頒布: 房総のヒメコマツ研究グループの藤平代表が実行委員長となり、君津市において平成22年7月8日から8月22日まで「巨樹・古木フォーラムin君津」が開催されました。8月22日には、藤平代表によるフォーラムの基調講演「ヒメコマツを語る」の他、ヒメコマツの保全活動を紹介するパネル展示、苗木の頒布などを行いました。
- 観察会の実施: 平成23年3月6日に観察会を実施しました。健脚向けの行程でしたが、9名が参加し、ヒメコマツの現状、保全活動の状況などを現地で解説しました。
- NORNAC(自然系調査研究機関連絡会議): 名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)にあわせて、平成22年10月20日と21日に開催され、千葉県ヒメコマツ回復計画についての研究発表を行いました。
≪取組がメディアで紹介されました≫
- 平成23年1月11日 千葉日報 県森林研究所のヒメコマツの種子生産について紹介されました。
- 平成23年2月7日 千葉日報 ヒメコマツ回復計画について紹介されました。
- 平成23年5月23日 NHKFM(まるごと千葉60分) ヒメコマツ回復計画について紹介 されました。
- 平成23年6月15日 日経新聞千葉版 保全の様々な活動について紹介されました。
≪公表された成果等≫
- 池田裕行・遠藤良太・尾崎煙雄・藤平量郎・佐瀬正(2004):房総半島におけるヒメコマツ保全−人工交配による種子の稔性向上−、林木の育種2005特別: 10-12
- 尾崎煙雄・藤平量郎・池田裕行・遠藤良太・藤林範子(2005):垂直分布下限のヒメコマツ、森林科学45: 63-68
- 池田裕行・鈴木祐紀・尾崎煙雄・遠藤良太・藤林範子・藤平量郎(2007): ヒメコマツ更新地の林分構造と林床の光環境、関東森林研究58: 119-122
- 池田裕行・鈴木祐紀・山田利博・尾崎煙雄・遠藤良太・藤平量郎・藤林範子(2008):房総半島産ヒメコマツの保全活動、関東森林研究59: 141-144
- 遠藤良太・池田裕行・鈴木祐紀・尾崎煙雄・藤平量郎(2010):房総半島産ヒメコマツつぎ木苗の種子生産状況、関東森林研究61: 99-102
取り組みの実施機関・関係機関
- 房総のヒメコマツ研究グループ(保全協議会委員)
- 東京大学千葉演習林(保全協議会委員)
- 関東森林局千葉森林管理事務所(保全協議会委員)
- 君津市農林振興課(保全協議会委員)
- 千葉県中部林業事務所(保全協議会委員)
- 千葉県農林総合研究センター森林研究所(保全協議会委員)
- 千葉県立中央博物館(保全協議会委員)
- ちば千年の森をつくる会・・・試験植栽地の管理等
- 株式会社ファイザー・・・薬剤効果判定試験等
| 絶滅危惧種の保護・回復のページへ | センターのトップページへ |