千葉県では、県内の絶滅危惧種のうち、特に生息・生育状況が悪化している種を対象に、協議会を設置して検討を重ね、平成22年3月に下記2種について回復計画の策定し、現在、回復計画に基づき回復事業を進めています。これらの計画は、今後の多様な主体による回復計画策定のモデルとなることを目指したものであり、県では、引き続き絶滅危惧種の保全・回復に向けた取り組みを推進します。
◎シャープゲンゴロウモドキ回復計画(平成22年3月31日)
シャープゲンゴロウモドキは、体長30 mm に達する大型のゲンゴロウの仲間です。かつては水田などの一時的止水域で普通に見られた水生昆虫ですが、現在、シャープゲンゴロウモドキの関東型の生息地は、千葉県内の2ヵ所のみに激減しています。各生息地での個体数もわずかであり、最も絶滅の危機にさらされている生物の一つです。
≪平成22年度の主な取り組み≫
- シャープゲンゴロウモドキ保全協議会の開催: 専門家・行政・NPO等で構成する協議会(平成20年度設置)を継続して開催し、課題の検討を行います。
- 系統保存: 鴨川シーワールド、千葉シャープゲンゴロウモドキ保全研究会によって、野生絶滅した生息地を含む地域個体群の系統保存を継続して行います。系統保存は、絶滅の回避とともに、将来的には遺伝的特性を考慮した上での再導入を目指して、実施していきます。
- アメリカザリガニの駆除: 生息地に侵入してしまったアメリカザリガニの駆除を定期的に行います。アメリカザリガニの影響についてはこちら。
- 生息地管理: 地元NPOにより、草刈や代掻きなどの生息地の維持・管理を行います。
- 生息環境の創出: 地元NPOにより、生息地付近に試験的に生息環境を創出し、その経過調査を行います。
- パトロール: 地元NPOによる監視など、採集者対策を行います。
- 観察会: 千葉シャープゲンゴロウモドキ保全研究会による、地元小学校の観察会・体験学習を引き続き年2回(予定)を実施します。
◎ヒメコマツ回復計画(平成22年3月31日)
ヒメコマツは山地性の常緑の高木で、樹高約 30 m、胸高直径 1 m に達するマツ科の針葉樹です。ヒメコマツは房総丘陵の個体群は、本種の標高的な分布下限であるとともに、気候的に最も温暖な地域の一つに分布する特異な個体群として、学術的に非常に重要です。しかし、房総半島のヒメコマツは、1970年代以降マツ材線虫病の影響などにより急激に個体数が減少し、現在、自生する成木は85本程度となってしまいました。また、自生する若い個体はほとんどなく、天然更新がさまざまな要因により阻害されていることが明らかとなり、県内の個体群の絶滅が危惧されています。
※こちらから千葉県ヒメコマツ回復計画(PDF:約0.9MB)をダウンロードできます。
≪平成22年度の主な取り組み≫
- ヒメコマツ保全協議会の開催: 専門家・行政・NPO等で構成する協議会(平成20年度設置)を継続してを開催し、課題の検討を行います。
- 生存個体の保全: 個体数減少要因の1つと考えられるマツ材線虫病の予防のため、薬剤の試験投与とその効果検証を継続して行います。
- 系統保存: 県農林総合研究センター森林研究所、東京大学千葉演習林において、苗木(つぎ木・実生苗・人工交配苗)の維持管理によるクローン個体の維持に加え、実生苗、人工交配苗の維持管理を継続して行います。
- 試験植栽: 系統保存個体の自然環境への試験的植栽を行い、これらの植栽個体のモニタリングを実施します。
- 遺伝的多様性の解明: 遺伝的多様性の解明は、植栽個体や植栽地の選定など、回復計画を実行する上で非常に重要であるため、既往の研究をもとにしてマイクロサテライトマーカーの再検討を行います。
- 観察会: ヒメコマツの自生個体を探訪・観察する行事を開催します。
取り組みの実施機関・関係機関
- 房総のヒメコマツ研究グループ(保全協議会委員)
- 東京大学千葉演習林(保全協議会委員)
- 関東森林局千葉森林管理事務所(保全協議会委員)
- 君津市農林振興課(保全協議会委員)
- 千葉県中部林業事務所(保全協議会委員)
- 千葉県農林総合研究センター森林研究所(保全協議会委員)
- 千葉県立中央博物館(保全協議会委員)
- ちば千年の森をつくる会・・・試験植栽地の管理等
- 株式会社ファイザー・・・薬剤効果判定試験等
◎ミヤコタナゴ保護増殖事業
県内の茂原市、いすみ市、夷隅郡御宿町、勝浦市に生息する天然記念物「ミヤコタナゴ」については、環境省受託事業「希少野生動植物種保護増殖事業(ミヤコタナゴ)」としてその保護・増殖に努めています。
○絶滅危惧種の回復に向けてのさまざまな問題点