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千葉県における特定外来生物「ウチダザリガニ」の生息状況について
   平成21年9月に利根川水系の長門川(印旛郡栄町)において、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防水に関する法律(外来生物法)⇒環境省のページへリンクにより特定外来生物に指定されているウチダザリガニが、関東地方で初めて捕獲されたことを受け、千葉県では本種の現在の分布や生息状況を把握することを目的として調査を実施したので、その結果の概要を報告します。⇒捕獲の経緯はこちらへ

○ 調査の方法
1  漁業者からの情報および捕獲個体の収集

   地元の漁業者を中心に過去の漁獲情報を聞き取るとともに、本種が捕獲された場合には個体を引き取るなどして捕獲個体を収集しました。

2  県による捕獲調査

   本種の分布や生息状況を把握するため、平成21年12月から平成22年1月にかけて、本種が最初に確認された長門川のほか、利根川本流(若草大橋〜常総大橋)や将監川において、網モンドリ(エビやカニを捕るためのカゴ型の漁具)を用いた漁獲調査を実施しました。
  また、これらの調査は、外来生物法による「防除の確認(緊急防除)」を取るとともに、千葉県内水面漁業調整規則および茨城県内水面漁業調整規則による「特別採捕許可」を得て実施しました。
○ 調査結果
1   漁業者からの情報および捕獲個体の収集

 平成21年9月から平成22年1月までの間に、漁業者から合計10尾のウチダザリガニの捕獲情報および捕獲個体の提供がありました。このうち、1尾は利根川本流で、1尾は将監川で、8尾が長門川で捕獲されていました。
  また、聞き取り調査などから、少なくとも4年前から本種と思われるザリガニ類の捕獲があったことが明らかになりました。

2  県による捕獲調査

   県による生息状況調査においては、合計5尾のウチダザリガニが捕獲されました。いずれも長門川において捕獲され、大きさは全長(角の先端から尾の端まで)で約117〜137oであり、性別は雄が4尾、雌が1尾でした。
写真:捕獲されたウチダザリガニ

○ 考察
1  分布状況

   もっとも多く捕獲物や情報があったのは、長門川でした。また、将監川や利根川でも捕獲物の提供があったほか、過去に捕獲したという情報もあったことから、将監川から長門川を通じて利根川本流までの広い範囲に生息している可能性が高いことがわかりました。 また、長門川においては、印旛沼内での調査では捕獲や捕獲の情報は得られておらず、印旛沼内では生息していないと考えられました。
生物多様性地理情報システム(GIS)

2  生息状況

   県による捕獲調査において推定された生息密度は、過去に北海道などで行われている多くの生息状況調査の結果と比較すると低い値でした。
   漁業者からの提供個体を含んだ捕獲個体の大きさは、ほとんどが全長100o以上であり、成熟個体であると考えられましたが、抱卵個体や稚ザリガニを得ることはできませんでした。しかし、地元漁業者からの聞き取りでは、抱卵個体も確認されていることから再生産が行われていると推測されました。

→これらの生息状況についての情報をとりまとめ、当センター研究報告第3号に掲載しました。
*尾崎真澄・光岡佳納子・橋洋生(2011):千葉県利根川水系におけるウチダザリガニPacifastacus leniusculus の生息状況.千葉県生物多様性センター研究報告,(3),65-76.

3  生息の由来

   ザリガニ類には、体表に付着して生息している「ヒルミミズ」という共生生物が存在します。このヒルミミズ類は寄生宿主により種構成が異なることから、ヒルミミズ類の分類により、宿主(ウチダザリガニ)の元の生息地の由来が推測できます。
   また、額角の形態の地理的変異の状況からも生息地の由来判定の基礎情報が得られます。
   今回捕獲されたウチダザリガニから回収されたヒルミミズ類の同定結果や額角の形態測定結果から、利根川水系で捕獲されたウチダザリガニは、北海道もしくは福島県から持ち込まれた可能性が高いことがわかってきました。
   これらの情報は、学術論文としてとりまとめられ、公表されています。
*Nakata, K., N. Hayashi, M. Ozaki, A. Ohtaka and J. Miwa (2010): First record of the North American invasive crayfish Pacifastacus leniusculus from the Kanto region, Tone River basin, central Japan: a range expansion to a warm water area. Plankton and Benthos Research, 5(4),165-168.
○ これからの取り組み

1  情報収集および調査

  ウチダザリガニの耐水温度は30℃以上であり、千葉県で定着が確認された場合は、もっとも南における定着事例となります。
  今回の調査では、雌の抱卵個体や稚ザリガニが捕獲されていません。既存情報により、雌の抱卵個体は捕獲されにくいとされていることから、引き続き情報収集および捕獲された個体の回収により、状況把握に努めていきます。

2  普及啓発

  捕獲個体の調査から利根川水系で捕獲されたウチダザリガニが北海道もしくは福島県から移入された個体である可能性が高いと考えられました。これらの個体は、外来生物法の策定以前から野外に放たれている可能性がありますが、現在は、特定外来生物として、飼育、運搬(活きたままの移動)、保管、譲渡・販売、野外への放逐などが禁止されています。本種を野外で捕獲した場合は、その場での殺処分など適正な処理を施すよう各機関等への周知徹底を図っていきます。
千葉県ウチダザリガニ防除実施計画を策定しました。
「千葉県ウチダザリガニ防除実施計画」(平成23年3月策定)


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